人事コンサルの学び日記 ー組織とヒトのコトー

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人事コンサルタント見習いの学んだことをアウトプットする場。

役職が変わるとなぜつまづくのか?期待役割の変化におけるトランジションとは

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人事の最終的な目標は各事業部に対して、適切な人員を配置することです。
そのために人事部門は「採用」「育成」「配置転換」「管理」を行い、
各事業部に最適な人員を配置しているわけです。
 
その人事の役割の中でも今日は育成についての
基本的な考えやよくある悩みを書いていきたいと思います。
 
まず、最近の企業においての人材開発の問題において多いのが
昇進や昇格のタイミングでつまづいてしまうといういことです。
つまづいたあとにしっかりと立ち直ってくれればいいのですが、
立ち直りもなかなか難しくいつまでも期待された役割をこなすことが
できないという悩みがあります。
 
この問題は若手から中堅へ、課長から部長へといった
特定の階層や職位の変化に限られたものではなく
企業で働くビジネスパーソンのあらゆるそうで起こっています。
 
この期待されるステージが変わるときに
起こるつまづきを役割転換不全と言われています。
 
具体的にはどのような問題があるか見ていきましょう
 
1.課長→部長への昇格
・管轄組織の戦略を策定・推進するよりも現場の仕事に直接手を出そうとする
・組織の責任者として、決断し意思決定することを避けようとする
 
2.一般社員から課長へ
・優秀な部下へ集中的に仕事をアサインし、他の部下が育たない
・プレイヤー志向が強く、マネジメント業務よりも自分のプレイヤー業務を優先する
 
3.若手から中堅へ
・指示されたことは遂行できるが、自分で解決する力を持たない
・自分が周囲に与えている影響に無関心で、勝手な言動をする
 
全てあるあるかなと思いますが、自分がやっているときは意外と気づきにくいもの。
自分も書いていながら耳が痛いです。
 
これからのことは大きく分けて次の3つに分けることができます。
1.求められる役割が理解できてない
2.求められる役割を担いたくない
3.求められる役割を果たす能力がない
 
では、これらの3つのことを全て行ってから
次のステージに上げればいいのかと言われれば
そういうわけではありません。
そんなことをしていては企業の成長スピードに合わないですし、
実践を積まないと、意識の醸成やスキルは身につかないからです。
 
ではどうすればいいのかというと
役割が切り替わる転換期(トランジション)を用意しておくということです。
次のSTEPに階段状に上がっていきますが、その階段の間に細かい階段を更に用意しておくということです。
 
例えば、
ある業務の担当を任される
→やりはじめがわからない、うまくいかない、失敗する
 →自分で調べ、なんとか成功し、自信をつける
という成長の段階を意図的に用意して次のステージにスムーズに上げていくということです。
 
もちろんこういった経験は役割が変われば、いずれは経験することですが、
成長を「待つ」ということは変化の激しい現代において難しくなりつつあります。
そこでその経験が積めるように事前に準備をして、
意図して「経験をさせる」ことが大切になってきます。
 
甘えたことを言わず、這い上がってこいという方もいらっしゃいますが、
それをしてしまったら、育成は運になってしまいます。
 
どれだけ、転換期を人事が意図したものにできるかが、
強い企業を作るための鍵になってきます。